2017年6月21日水曜日

【イベント報告】「リトルプレス鼎談@北書店」に参加しました

イベント後の雑談の様子

6月19日、ニイガタブックライト主催の「リトルプレス鼎談@北書店」に参加しました。このイベントは前日、18日の一箱古本市in現代市の関連イベントとして開催されました。

一箱古本市の仕掛人・南陀楼綾繁さんの進行で、ブリコールの桾沢厚子さん、Life-mag.小林がそれぞれ活動の経緯や思いなどを話しました。

桾沢さんの人生を変えた本との出会い、『昭和の記憶』の制作エピソードははじめて直接聞けました。桾沢さんによる、巻町双書に寄せた河治町長の文章の朗読もよかった。10代の頃から本や雑誌、同人誌にマニアックに関わってきた南陀楼さんの話も面白かったです。

上の写真はイベント終了後、それぞれが持ち寄った影響を受けた雑誌などをめくりながら雑談する様子です。イベント中の写真は後日ブックライトさんのWebにアップされるとのことです。

ブックライトさんの事前告知に「佐藤店長のちょっかいもお楽しみに!」とありましたが、今回イベント中にハッとさせられた一言がこちら。


「小林くんは〈余白〉の人だから」


これは、言葉の響きを大切にするという意味か、聞き手それぞれの解釈の幅を大切にするという意味でしょうか。いやいや、「小林くんあんましゃべんねーな」というシンプルな意味か。どちらにせよ、言われた本人は妙に合点がいく一言でした。

雑誌の発行やなにかのタイミングでLife-mag.も主催イベントを久しぶりにやってみたいのですが、どうにも余裕のない日々を送っています。次号や既刊誌に関わるなにかをテーマに読者との交流をはかりたいのですが...。

そんな思いもあるので、今回のようにイベントに出させていただく機会はほんとうにありがたいです。傍目には出歩く仕事に見えるかもしれませんが、実際のところは、編集、デザイン、納品、経理ほか雑務と、ひとり頭を抱えている時間がほとんどです。読者や旧知の知り合いに直接会える機会は、精神衛生上たいへんありがたいのです。

主催いただいたニイガタブックライトの亀貝さん、スタッフの皆様、受付を手伝ってくれた文旦さん、会場の北書店・佐藤さん、そして参加いただいた皆様、ありがとうございました。

最近、追い込まれて泣き崩れるという夢を見て、「あぁ、いろいろ追い込まれてるのかなぁ」と思っていたのでいい刺激になりました。

以下にイベント前の時間に歩いて撮った写真を載せておきます。

寿湯

岩室駅から越後線に乗って白山駅で下車。15時過ぎに一旦、会場入り。その後、西堀通のクラシックショップ「コンチェルト」の佐藤さんのことろへ。そして「新潟絵屋」の蓮池もも展へ。この日は暑く、午前中からの汗を流してからイベントに出ようと、こんぴら通りの「寿湯」へ向かうも休業中。


金刀比羅神社

ななめ向かいの金刀比羅神社でイベントの無事を祈って参拝。本町通の「いずみ湯」に向かうも月曜休み。古町通の「菊乃湯」は休業中。う〜むと、白山浦の「有馬湯」に向かうと月曜休み。


飛鳥

歩き疲れて、学校町通の「飛鳥」で夜定食700円。がっつりでした。「はい、学生さん。ご飯おかわりしてよ」と学生に間違えられ、不思議な心地よさ。

看板

18時過ぎ、満腹状態で会場戻り。汗を流すつもりが、逆に汗をかいてしまいました。とほほ。

タガヤス堂さんのコーヒー

各種メディアで話題沸騰中の佐渡の羽茂から来たタガヤス堂さんのコーヒーを飲んで、いざ、イベントへ。オケサドコーヒーの豆、美味しかったです。次回の佐渡納品回りの際は、ドーナツも食べたい。

以上です。

2017年6月13日火曜日

【書評】斉藤文夫『昭和の記憶 新潟 海の村 山の村』

『昭和の記憶 新潟 海の村 山の村』

2017年6月11日付け新潟日報朝刊に、斉藤文夫さんの『昭和の記憶 新潟 海の村 山の村』の書評を寄稿しました。県外の方や購読していない方もいるかと思うので、このブログにも載せておきます。

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写真機が〈光〉を写し取る機械であれば、そのシャッターを押し続けた斉藤文夫氏の眼差しは、移り行く時代の〈影〉を見据えていたのではないだろうか。

本書は写真家で郷土史家の斉藤氏の写真集である。60年以上に渡り数十万枚と撮りためてきた中から、昭和40〜50年代を中心に約200枚が掲載されている。
写真集は2部構成となっており、1部は「海の村」と題し旧巻町浦浜・角田浜地区が、2部は「山の村」と題し旧下田村大江・大谷地区の写真が載る。
「海の村」では、真冬や夜明け前の漁、家族が漁を手伝う姿、漁師たちが番屋で昼寝する姿が。「山の村」では、田植え、稲刈り、山菜採り、熊捕り、薪風呂に入浴する姿が載る。さらに祭りや墓参り、生徒一人の冬季分校、浜や川で遊びに興じる子どもたちの傍らでシャッターは押された。

斉藤氏は、自然の豊かさと厳しさに対峙しながら暮らしてきた「海の村」、「山の村」の人びとの姿を「日本人の暮らしの原型」と呼ぶ。かつて日本各地に見られた暮らしである。しかし、撮影からほどなく、浦浜地区の過疎はさらに進み、大江・大谷地区は県営ダムが計画され暮らしそのものが消えた。
その土地の暮らしが消えるとはどういうことか。評者はこう考える。「海の村」、「山の村」に暮らした人びとは土地の自然に相対し、限られた資源をいかに組み合わせて有効なものへと仕立てるのか、脈々と受け継がれてきた暮らしの中には蓄積されたその〈知恵〉があった。撮影された昭和の後半、斉藤氏が予見したのはその〈知恵〉の断絶ではないか。

撮影から40年ほどが経過。斉藤氏の仕事に呼応するかのような出会がこの一冊を生んだ。84歳の斉藤氏と30代の桾沢和典、厚子夫婦との出会いである。桾沢夫婦は「ブリコール」との名義で、地域に受け継がれる生業や手仕事を取材、収集し、ワークショップやトークイベントを通じ、それらをまた次の世代へと伝達、継承する活動を行っている。斉藤氏とは2013年に出会い、親交を深めてきたという。
今回の企画、編集、広報は「ブリコール」が担った。制作費はチラシやインターネットを通じて募り、出版を前に200人以上からの支援が集まった。世代を越えた共感と関心が、海と山の村に育まれた〈知恵〉を後世へと手渡すべくこの一冊を形にしたのだ。

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以上です。

文中にも出てくるブリコールの桾沢さんとは、6月19日のニイガタブックライト主催一箱古本市のトーク「リトルプレス鼎談@北書店」でご一緒します。

今回のトークイベントではこの本の出版経緯や制作エピソードも聞けるといいなと思います(むしろメインの話でも...)。この一冊を生んだのは、斉藤さんのこれまでの実績や人脈もさることながら、ブリコールの企画の打ち出し方、共感の広げ方も大きな力になったと思います。いただいた「リトルプレスについて」というお題への、いま一番ホットな応答になるのではないでしょうか。

にいがたの一冊

「にいがたの一冊」はわたしもよくチェックしているコーナーなので、話をいただいた時は緊張もしました。文末の「のだ」が、なんか偉そーかな、取ろうかなとか、余計なところまで気になるもんですね。

今回の作業の流れはざっとこんな感じでした。

著者、編者の方から、評者を推薦し、仮決めしておく。電話で仮の依頼。新潟日報社のなかで企画が通ると正式に依頼が来る。本文と評者の名前、肩書きを入れて1,000字が目安。著書が手元にあれば2週間、無ければ3週間が原稿の締切だそうです。

2日ほどかけて本をふたたびめくり、自分の中で沸々と湧き上がるもの(=書きたいこと)を観察し、おおよそ入れたいトピックを書き出す。さらに2日ほどかけて本文を書く、そして、削る。1日置いてみて、最後の手直しをする。

といった流れでした。

掲載日のお昼頃に斉藤さんから「おれが寝てるときから電話がなったて。ほかにも友人、知人から電話があった。ありがと」と電話がありました。

いい宣伝になっていればなぁと思います。

原稿の校正は、新潟日報編集局の高内小百合さんにお世話になりました。ありがとうございました。

2017年6月12日月曜日

【イベント案内】「リトルプレス鼎談@北書店」に参加します

ニイガタブックライトWebより

【イベント案内】ニイガタブックライト主催の一箱古本市in現代市の関連イベントとして開催される「リトルプレス鼎談@北書店」に参加します。

一箱古本市の仕掛け人で編集者の南陀楼綾繁さんと、ブリコールの桾沢厚子さんと3人で登壇予定です。お題は「リトルプレスについて」。南陀楼さんには現在編集中の【粟島編】に、桾沢さんからは近刊予定の【西蒲原の農家 編】に岩室温泉の「ギャラリー室礼」や土着ワークショップなどの活動を振り返って寄稿してもらいました。南陀楼さんとは年末に一緒に粟島取材に行ったので、その時のことも紹介できたらなと思います。

以下にニイガタブックライトさんの案内文を転載します。

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小さなメディアだからこそ、できること。

〜地域の人にインタビューする『Life-mag.』の小林弘樹さん。〜土着文化を継承するワークショップや書籍を発行し、生活に根づいたものを再発見/再定義するブリコールの桾沢厚子さん〜30年来、折に触れミニコミや小冊子をつくってきた一箱古本市の仕掛け人・南陀楼綾繁さんの3人が、それぞれの立場から「リトルプレスについて」わいわいと語り合うトークイベントです。
新潟で志のある活動を続けてきた二人と、ベテラン南陀楼さんの掛け合いを(北書店・佐藤店長のちょっかいも)お楽しみに!!

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詳細、申込は以下です。

日 時:619日(19:00
会 場:北書店(新潟市中央区医学町通2番町10-1ダイアパレス医学町)
参加費:1,000円
申 込:北書店(sato@kitashoten.net|025-201-7466|店頭)
詳 細:http://niigatabooklight.com/

なお、一箱古本市は前日18日の10:00〜15:00、新潟市中央区の学校町通りにて開催されます。学校町商店街のイベント「現代市(いまいち)」との同時開催です。本以外にもフリマ、飲食ブースもあります。こちらもあわせてお楽しみください!