2011年4月22日金曜日

「引く」あるいは「少ない」ということについて 003



























『17歳のための世界と日本の見方』・松岡正剛著・2006年12月25日・株式会社春秋社発行


この冬、ブログ前掲記事のことを考えながら、この本のことを思い出していた。

第四講・・・日本について考えてみよう
〜禅の感覚と「引き算の魅力」〜の項で松岡氏はこう述べる。

(273p.) 「枯山水は、実際には岩や石や砂があるだけなのに、そこに水の流れや大きな世界を観じていこうというものですね。こういう見方を禅の言葉で「止観」といいます。」

(274p.)「止めて見ると、逆にそのなかにいろいろなものがずっと見えてくる。」

(同頁)「しかも枯山水は水を感じたいがゆえに、あえて水をなくしてしまっている。つまりそこには「引き算」という方法が生きているんです。それが新しい美を生んだ。」


古今東西の森羅万象を縦横無尽に編集し尽くす松岡氏の本を私は解釈しきれたとは到底いえないが、読み進めるのはとても楽しい。




蛇足になるが、東京駅に行った際に丸善の松丸本舗に寄ったこともある。その本棚からは松岡編集学のストイックさと狂気すら感じた。
私は、書店が作る本棚がいくつかの社会問題を解決することもあるのではと思っている。ひとつの街を変えていくこともあると思う。書店員の配置次第では、通りすがりのお客さんを茶道へといざない、インド旅行へいざない、環境問題への関心を呼び起こし、ある人は喫茶店を始めるかもしれない、一冊の本(という世界)を通じてお客さん同士が知り合うかもしれない。

どんな仕掛けを組み立てるか?

私が書店に足を運ぶのは、お目当ての本を探すというより、その「仕掛け」に込められたメッセージを読みに行くことが専らである。