2016年11月15日火曜日

【訃報】英太郎(はなぶさ・たろう)さん

本誌未使用カット

Life-mag.vol.009【寺泊・弥彦・岩室・巻 編】』で取材させていただいた[弥彦]出身で劇団新派の俳優・英太郎(はなぶさ・たろう)さんが11月11日午後11時に亡くなったそうです。謹んでご冥福をお祈りいたします。

劇団新派ウェブより

英さんには、今年の2月13日にインタビュー取材のため上野の喫茶店で初めてお会いしました。とくべつ芸能に詳しいわけでもない田舎から出てきた編集者に対して、ご自身の半生を丁寧に語ってくださいました。

翌月、3月3日から半蔵門の国立劇場で行われた劇団新派公演では「寺田屋お登勢」で坂本龍馬(中村獅童)の姉・乙女さん役で出演するとのことで、ふたたび撮影でお会いしました。2日の通し稽古で撮影させていただき、稽古後、仮誌面をお渡し。そして、補足取材を有楽町の喫茶店で行い、その後、新橋に移動して牛タン定食をご馳走になったのも得がたい思い出です。

3日の初日に観劇させていただきましたが、舞台に英さんが登場し一声を発した途端、劇場の空気に一筋の緊張感が生まれたのが印象的でした。

本誌では、6ページ分の記事にさせていただき、発刊後には「よくまとめてくださって、ありがとうございますね」と電話をいただきました。

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このご縁は[弥彦]の土産品紹介ページの取材で、白根屋さんを訪ねたことからでした。「イカメンチ」を撮影後、ふと厨房の隅に目をやると、着物を着た女性のパネルがあり、「これは?」と聞いたところ、「うちのおじさんです」と。詳しく聞いていくと、ここが英さんのご実家でした。

取材からまだそれほど時間が経っていないので、声の質感をはっきりと思い出せます。最後の舞台となった9月公演の前にも「よろしかったらどうぞ」と電話をもらいましたが、結局、都合がつかずに行けなかったのが悔やまれます。

長い長い長い下積みをへて磨き上げてきた芸への厳しさと、なおも衰えを知らない演じることへの好奇心に触れた取材でした。

取材のご縁に感謝します。ありがとうございました。


追記・地元紙「新潟日報」2016年11月15日付け朝刊でも報じられました。

新潟日報