2018年7月25日水曜日

新潟日報『おとなプラス』「南魚沼からみなかみへ、古道・清水峠」「天空の楽園、苗場山」

引き続き、新潟日報社の夕刊『おとなプラス』で特集記事を書かせていただいています。

2018年6月6日付けでは南魚沼市から群馬県みなかみ町へと抜ける古道・清水峠を、7月23日付けでは山頂に無数の池塘が広がる苗場山を取材し、掲載となりました。

清水峠1

清水峠2

清水峠は南魚沼市清水集落から谷川岳の東麓を通って、群馬県みなかみ町の湯檜曽集落へと抜ける古道です。戦国時代から軍略や交通の要衝として人の往来があった道です。

明治時代には国道として整備されたものの、度重なる土砂災害に復旧工事が追いつかず、次第に人の往来も消えて行きました。そして、交通網は鉄道や高速道路の時代へ。

清水峠には現在も国道291号として指定される区間もありますが、一部マニアの間で「酷道」と評されるように、一般の通行は不可能です。とくに新潟県側からの進入はまったくおすすめできません。

ただ、群馬県みなかみ町側からは名峰・谷川岳からそそぐ一ノ倉沢までよく整備されたトレッキングコースになっているので、歩きやすくおすすめできます。新潟県からのちょっとした小旅行にも良さそうです。

こんな光景に出会えるかも。

清涼な冷気を浴びて

これは5月末に行ったときの写真なので、雪はもっととけていると思いますが、沢を下る冷気がマイナスイオンをばんばん放っています。日常生活で八方塞がりだなチクショーと感じることがあったら、とりあえずまたここにきてしばらく座りたいです。アウトドアチェアを持ってきて座って沢を見上げてるおじさんもいたし。

湯檜曽駅付近より

みなかみ町のJR上越線湯檜曽駅近くにはこんな光景も。この近くは線路がループ状になっていて、電車がぐるりと山の中を回って走ってきて、この橋を渡ります。古い温泉街に湯檜曽川、無骨な橋脚、あぁ、いい景色だなぁ、とぼけっとしてたらちょうど電車がきたので一枚。

記事では往来の歴史や記録、実際に峠道(みなかみ側からと新潟側からの2回)を歩いてのレポを書きました。また、本紙とは関係ありませんが、この取材時に見た夢のことをすこし前の【ブログ】に書いています。

苗場山1

苗場山2

こちらは山頂部に無数の池塘があり、独自の景観と植生をもつ苗場山についての記事です。山頂部の台地は泥炭層となっており、その窪みに雨水がたまったものが池塘(ちとう)と呼ばれています。その数、約3,000とも言われています。

苗場山は標高2145㍍、日本100名山のひとつでもあります。いい山はいい出会いをもたらしてくれるのかもしれません。取材では、埼玉や滋賀から山旅に来ていた人、長野の写真家・飯塚英春さんと生徒さん、新潟県警山岳救助隊、山小屋の主人・林浩二さん、スタッフの永井大士さんなど、山頂で様々な人との一期一会に恵まれました。

また、苗場山麓ジオパーク推進協議会の中澤英正さんにも苗場山の成り立ちについて教えていただきました。中澤さんは、『苗場山麓植物民俗事典』を執筆・編集した方です。山麓にどんな植物があるかだけでなく、人の生活とどのような関わり(料理や道具、信仰)があったのかを解説した事典です。しばらく前に、新潟日報朝刊に記事が載っていて、切り抜いてノートに貼っていたので、本人にお会いできて嬉しかったです。

わたしは秋山郷からの小赤沢コースと湯沢町からの祓川コースと2回登って記事を書きました。山小屋に泊まったのも初めてでした。

7月上旬、午前5時前、苗場山頂の池塘

未使用カットです。池塘のなかに咲いているのはワタスゲです。早朝は朝露に濡れていますが、お昼すぎには乾いてふわっふわっになります。触ると気持ちいいです。

清水峠の取材と同様、ここにも酷暑の平場とは違う清涼な風が吹いていました。日常生活で四面楚歌に陥りどうしろってんだバカヤローと感じることがあったら、また山小屋に泊まりに来て穏やかな朝を迎えたいです。

いや、まぁ、気分転換なんてしてる余裕がないのが、実際の毎日ですが...。

清水峠の取材のアイデアは、おとなプラス新年会で、日報写真部の方が「小林くん清水峠って知ってる? いいんじゃない」と言ってたのが頭に残っていて、今回提案、取材しました。

苗場山は、昨年の秋山郷取材で訪ねた民宿「苗場荘」の女将・島田とも子さんが、「この裏から苗場山登れるんだよ。きれいだからいつか来てみて」と言ってたのが、頭に残っていて、今回その機会をいただきました。

取材先各地でいただいたご縁にあらためて感謝します。

ありがとうございました。

引き続き、身近なご縁を手繰りよせながら地道に各地を歩いて行きたいと思います。また、来月も辺境と辺境を結んでの取材を予定しています。

新潟日報「おとなプラス」は朝刊と合わせて3,980円で購読可能です。バックナンバーは県内のNICまたは新潟日報社に問い合わせて買うことができます。一部60円(送ってもらう場合、別途送料や振込手数料がかかるかもしれません。要問合)。興味のある記事だけでもぜひどうぞ。