会場の様子 |
2013年11月27日(水)19:00〜@北書店
「本屋鼎談2~これからの街の本屋~」ゲスト:内沼晋太郎さんが開催されました。
内沼さんはB&Bという新刊書店を2012年7月にオープンさせました。下北沢駅から徒歩5分ほどで、30坪くらいの広さです。(北書店は40坪)
これからの「街の本屋」のモデルになりたいとはじめられました。
店内でビールが飲めるということと、ほぼ毎晩、何かしらトークイベントをやっているのが特徴です。
参加料は1500円+ワンドリンク500円で、2000円ほどの設定が多いそうです。もし、本を売って1500円の利益を出すのであれば、7500円分の本を売らなければなりません。
B&Bさんのイベントだと平均して30人くらいの参加者が来るとのこと。(店内には最大60名入る)現在、土日は2つ、3つのイベントが重なる日も多いそうです。
内沼さんは普段、店舗にいるわけではなくて、ブックディレクターとして、本との多様な出会い方をプロデュースするべく他の仕事も多いそうです。
「ゲバラTシャツが流行った頃、ゲバラが何者かもわからずに、ただ流行で着ている人も多かった。それよりも、ゲバラがどんな人物なのか、『ゲバラ日記』などの本を通して知っていた方がもっとかっこいいのでは」との思いではじまったアパレル店での本棚づくり。ワールドなど大手アパレルから店舗や企画に合わせた本棚作りの依頼を受けることもあったそうです。
内沼さんがブックディレクターという自身の仕事を説明するのに
「本に関わる人はみんな本屋だと思うし、そのレイヤーは多様な方が楽しいんじゃないかという思いがある。どこかのお店のはじっこで読み聞かせをしている人も、子どもに本を届けているという意味で本屋だと思う。北書店のはじっこで本棚を持たせてもらうこともそう」
といっていたのが印象的でした。
またイベントを必ず毎晩入れていくというのは大変で、時には、内沼さんの人生相談や映画業界三年目ナイトという企画でやったことも。それで5人くらいしかお客さんがいなくても、盛り上がったり。人生相談→アパレル店員にしか恋ができないがどうしたらいいか→成功するまで100人くらい告白してブログに書いたら→たまたま参加した編集者がうちで連載にできないか、という展開も(笑)。
それに対して、北書店・佐藤さんは、「俺だったら、お前は客だから優しくされているだけだよ!って言うな〜(笑)。内沼さん優しい!」
一方、それは東京だから可能で、地方では無理とは思わなくて、地方でもいろんな情報のネットワークがあれば可能なのではと提案。大学教授や、ライブハウスに来たミュージシャンでもいい。月に1、2回は東京からゲストを呼んでもいいし。可能性はあると。
B&Bさんは有給のスタッフが5人ほどいますが、現在の売上で3年後の改修も見込んだ売り上げ目標を達成しているそうです。
佐藤さんはまた違った流れで本屋を営んでいます。前職の北光社に入った時点で、棚作りをはじめさまざまな仕事をやらざるを得ない状況で独学で憶えていきました。
新潟市の書店にとって、「2007年問題」は大きくて、紀伊國屋の規模倍増、ジュンク堂書店新潟店の開店。そして、イオン新潟南店の開店をうけますます商店街から人がいなくなったのを実感。そして、2010年1月、北光社閉店。
「北」という一字を受け継ぐ形で、北書店をはじめたことで新潟の多くのメディアが開店を報道、応援してくれたという追い風は吹いた。北光社をなくしたくないという思いが強くて、そのままの勢いで開店へ。
取次への配本に頼らない注文による店づくり。トークイベント開催による、著者や読者同士の交流の場づくり。などB&Bさんと北書店さんの共通点もあげられました。
しかし、佐藤さんは毎日、本屋に身体を置き、共同経営者や従業員もいません。その環境の差は大きいようにも思いました。冬の荒れた日に転倒した老人の救急車を呼んであげたことも何度か。
約2時間半のトークで内容は盛りだくさんでした。同業の方々も多く参加していたようです。
一言感想。「看板と店主と本棚」がつながっていて、「未知と偶然と地域」に触れられる街の本屋があったらいいなと思いました。雑誌も居酒屋も一緒かな。なんとなくの感想でした。
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B&B×北書店 |