7日の朝、高速バスで新潟を発ち、午後に新宿到着。夜は、下北沢B&Bにて[佐藤雄一×内沼晋太郎「北書店×B&B 街の本屋の逆襲」]を聞いてきました。
内沼:北書店の紹介を
佐藤:北書店の前身には北光社という本屋があって、それは190年続いた本屋でした。ペリー来航より30年早いんです(笑)。
2009年冬に北光社の閉店が決まって、2010年1月31日に閉店。3月15日に解体屋が入いることが決まっていた。
ずっとどうしようかなぁってのはあったけど・・・、どうしてもやりたくて自分で本屋はじめるってのとは違うからね。北光社があり続ければその方がよかったよ。でも、あとあとやりたいと思ってもやれないだろうし、って決めた。
2月6〜7日だったと思うけど、物件探しをはじめた「古町書店」とかって名前で10坪くらいで考えてたけど、古町の家賃は高かった。その後、今の場所を見つけた。そして、北光社閉店から72日後に北書店を開店させた。その時のことってほんと覚えてない。
うちの妻が北光社がいつかダメになったときのためにって貯金をしてたんだ。それがでかかったし、救われた。だから北書店のオーナーは妻かも。
内沼:北書店のような本屋は他の都市でもできるか
佐藤:俺の場合は北光社の棚とか使えたから、初期投資が抑えられた。そして、北光社のときのお客さんがついてきてくれた。あとは、鬼嫁がいるかどうかだよ(笑)。
北光社時代から、資金繰りは厳しかった。取次の支払いが滞るときは、どの本をどう返すかということを考え続けた。それは活きてる。
内沼:新規参入の新刊本屋というのは全国的にみても珍しい。でも、ここまで新規参入が少ない業界ってのもどうなんだろう。昔からの本屋のように、土地と建物を持っていて、教科書販売もやってる、そういうところだけが本屋の未来ではないと思う。
福岡のブックスキューブリック、名古屋のオンリーディングなどもすごくいいモデル。すごい。
佐藤さんが今回出店されるブックマーケット。東京で編集・出版された本を、新潟の本屋が東京に持って来て売るというのもすごいですよね(笑)。
佐藤:2010年に初参加だったんだけど、「ちくま文庫のセレクトを」ということで参加した。いまはいろいろ持って行って売ってる。すごく利益が出る訳じゃないけど、赤字じゃない。何よりいろんな人との出会いがあるのが良いよね。
新潟の街を考えると、2007年秋のイオンショックは大きかった。古町に、商店街に人がほんとにいなくなった。でも、逆に本に対して能動的な人の動きが見えてきた面もあった。
その年の、ジュンク堂新潟店開店、紀伊国屋書店の増床移転。その後の、コメリ書房のオープン。TSUTAYA書店の増床や新規オープンとか、本屋の面積は増えているよね。それでも、北書店の近くに別の本屋ができたからってすぐに売上が落ちるわけでもない。景気に左右されるわけじゃなくて、売上が落ちたら自分のせいじゃないかな。
(会場からの質問):人妻・エロス・山口組系の出版社に勤めています。売上が低迷し企画に悩んでいます。
佐藤:「ちんかめ」の現代版でもっとグロテスクなものがあれば。
内沼:オシャレなエロ本があれば、うちの本棚にも差したい。雑誌は棚に差しても売りやすい作りだといい。
小さな書店のメリットで例えば、「考える人」の小林秀雄特集が出たときは、その前後に文庫本も一緒に提案することができる。大型書店だと、文庫担当/雑誌担当と分かれるのかもしれないけど、小さな書店はそれができる。
でも、B&Bがやっていることって、大型書店には絶対に真似できないことではなくて、大型書店がその気になればいくらでもやれることだと思う。
(会場からの質問):北書店のこれからは
佐藤:戦略はない。
内沼:本屋はあらゆることにからめて、あらゆることがやれる場だと思う。プロポーズに使ってもらってもいい。現代詩のとんがった企画でもいい。B&BにはAV男優さんが来たこともある。そのイベントでは女性のお客さんも多くて、頭をなでられただけで「はぁ・・・」って(笑)。
佐藤:戦略はない。
内沼:本屋はあらゆることにからめて、あらゆることがやれる場だと思う。プロポーズに使ってもらってもいい。現代詩のとんがった企画でもいい。B&BにはAV男優さんが来たこともある。そのイベントでは女性のお客さんも多くて、頭をなでられただけで「はぁ・・・」って(笑)。
以上です。
下北沢とトークの雰囲気を映像で少し残しましたので、どうぞ。