コンパネをつなぎ合わせたキャンパスに描かれたゾウの絵が迫ってきた。昨年の「岩室あなぐま芸術祭」で見たゾウの絵の迫力、ユーモアをよく覚えていた。
作家は内山俊幸さん。西蒲区仁箇にある福祉作業所「麦っ子ワークス」に通う。内山さんには知的障害がある。
内山俊幸さん |
あなぐま芸術祭2018、からむしやにて |
内山さんは現在50歳、平成10年の麦っ子ワークス開設当初より通っている。作業の休憩時間などにほかの利用者とともに絵を描いているという。
麦っ子ワークスを訪ねると、支援員の山岸正則さんが施設内を案内してくれた。「ちょうどいま他の利用者さんと一緒に絵を描き始めたところでしたよ。新潟県の地図を描いているようです」と山岸さん。
麦っ子ワークスを訪ねると、支援員の山岸正則さんが施設内を案内してくれた。「ちょうどいま他の利用者さんと一緒に絵を描き始めたところでしたよ。新潟県の地図を描いているようです」と山岸さん。
鮮やかなクーピーで上中下越、そして佐渡に色分けされた地図を描いているところだった。わたしも挨拶をして、声をかけると明るく挨拶を返してくれた。
「内山さんはみんなから〈ウッチー〉って呼ばれて慕われてますよ。絵を描くときは迷いなく線を引いていきます。体調が優れなかったり、じぶんの中になにかモヤモヤがあると、絵に出ることもあります。今年のお正月頃はイノシシの絵を描いてたんですが苦戦していたようです」と山岸さん。
談笑の様子 |
麦っ子ワークス内は、内山さんと山岸さん、そしてほかの利用者さんの話し声とともに賑やかな雰囲気だった。初対面のわたしにも多くの利用者が声をかけてきた。
ゾウの絵を描いたのは5年前。当時の担当支援員Sさんが内山さんに声をかけて描かれたものだという。普段は画用紙などに描いているが、その様子を見たSさんが用意したのは、大きなコンパネ。
内山さんの創作意欲と、Sさんのこの大胆な提案が周囲を驚かすような作品を生んだ。
「利用者をあたたかく見守ってくれ、大事なときにはサポートをしてくれる方でした。きっと普段の様子を見ていて、内山さんの可能性をもっと見たいと思ったんじゃないでしょうか」と山岸さんは語る。
障害のある人の可能性を見出し、それをサポートする周りの環境はとても重要である。障害の特徴やその人の個性によって、支援のかたちは違ってくるだろうが、Sさんの提案は知的障害のある内山さんの可能性を社会に開いていくひとつのきっかけとなったのではないだろうか。
もしかしたら障害のある、ないに関わらないのかもしれない。
わたしたちは誰もがもつ、欠点や課題、困難に対して、すこしのサポート、すこしの助け合いがあれば、解決することは多いのではないだろうか。そんなこともふと感じた。
今年の岩室あなぐま芸術祭では、髙島屋に内山さんの絵が展示された。国の登録有形文化財に指定される宿とのコラボレーションとなった。
内山さんの作品をみた後、わたしは女将さんと障害者の地域雇用についてしばらく話して会場をあとにした。女将さんと話したことも追って、記事にできたらと思う。
施設内にかけられた内山さんの絵01 |
施設内にかけられた内山さんの絵02 |
ゾウの絵を描いたのは5年前。当時の担当支援員Sさんが内山さんに声をかけて描かれたものだという。普段は画用紙などに描いているが、その様子を見たSさんが用意したのは、大きなコンパネ。
内山さんの創作意欲と、Sさんのこの大胆な提案が周囲を驚かすような作品を生んだ。
「利用者をあたたかく見守ってくれ、大事なときにはサポートをしてくれる方でした。きっと普段の様子を見ていて、内山さんの可能性をもっと見たいと思ったんじゃないでしょうか」と山岸さんは語る。
障害のある人の可能性を見出し、それをサポートする周りの環境はとても重要である。障害の特徴やその人の個性によって、支援のかたちは違ってくるだろうが、Sさんの提案は知的障害のある内山さんの可能性を社会に開いていくひとつのきっかけとなったのではないだろうか。
もしかしたら障害のある、ないに関わらないのかもしれない。
わたしたちは誰もがもつ、欠点や課題、困難に対して、すこしのサポート、すこしの助け合いがあれば、解決することは多いのではないだろうか。そんなこともふと感じた。
岩室温泉「髙島屋」 |
玄関脇に展示された |
今年の岩室あなぐま芸術祭では、髙島屋に内山さんの絵が展示された。国の登録有形文化財に指定される宿とのコラボレーションとなった。
内山さんの作品をみた後、わたしは女将さんと障害者の地域雇用についてしばらく話して会場をあとにした。女将さんと話したことも追って、記事にできたらと思う。