まだ梅雨のさなかだった。
阿賀野市にある吉田東伍記念博物館を訪ねた。
道中、どしゃぶりの中、なんだか気が重いなと思っていたが、
博物館の庭の苔や石がいい色だったのでそれも吹き飛んだ。
庭を見るには雨のほうがいいのかも。
1907年(明治40年)、一人の在野の研究者が「大日本地名辞書」を書き上げた。
1,200万字におよぶ辞書を12年と2ヶ月にわたって。
休みなく書いたとしても、400字詰め原稿用紙で6枚/日となる。
日本全国の地名にまつわる由来・風土・歴史をまとめていった。
文献を読み解き、史実にもとづいた内容を整理し、判断する作業の繰り返しだ。
そんな偉業を成し遂げたのが吉田東伍。
越後国北蒲原郡安田村の旗野家に生まれる。
四つの学校を変えたあげく、新潟学校中等部に移るも
中退。
学歴を問われると「図書館卒」と答えたそう。
作業に取りかかったのは32歳。
海軍記者として日清戦争に従軍するもマラリアに関わり療養のため帰郷、その年の9月頃着手。
展示の中で興味深かったのは、
辞書の項目分け。行政が敷いた区画単位でない、古来からその土地のもつ歴史風土、共同性をふまえた区分けにされていること。
1906年(明治39年)から明治政府によって進められた神社合祀にも強く反対したこと。
歴史を語るときも古代から学ぶのではなく、現在(いま)から始まって、古代へと学びゆくこと。
あとは使用していた机の置物がかわいい猫だったこと(笑)。
私の住まい「鳥屋野」や実家の「和納」の項を引いてなるほど〜!!
と面白かったです。
博物館近くのラーメンのろしを食べて帰宅。
ちょっとしたドライブにぜひ。