あれから4年のときを経て、当時の北光社店長・佐藤さん、いまは北書店の佐藤さんはブログでこう綴っている。
新潟で、この街で起こった、小さな物語。ぜひ読んでいただけたらと思う。
【北書店のブログ】(http://kitashoten.blogspot.jp/2012/09/mag.html)
佐藤さん、写真ありましたよ。
2010年2月3日午後7:31撮影。
「お互い半笑い」で(笑)。
北光社閉店時に私が書いていた【ブログ記事】(http://life-mag-interview.blogspot.jp/2010/01/blog-post_06.html)がこちら。記事中程にあります。
閉店のことが新聞に載ってからも、本の取り寄せを淡々とお願いしていたと思う。
「あの、まだ本の取り寄せは大丈夫ですか?」
「うん、閉店までまだ2週間。大丈夫だよ」
その時に取り寄せたのは、
『何も共有していない者たちの共同体』アルフォンソ・リンギス著(洛北出版)。
北光社閉店最終日、ごった返す店内の中で買った本は、『Coyote No.12 特集:ジェリー・ロペスの静かな暮らし』スイッチ・パブリッシング刊だった。
本の内容とともに、どこで買ったか、誰から買ったかという「思い出」とともにいまも書棚に並んでいる。
北光社閉店から間もなく、佐藤さんは北書店をオープンさせた。
北光社が照らし続けた「文化の光」、その種火を受け継ぐように。
最近、佐藤さんに言おうかなと思ったけれど、なんだか躊躇してまだ言ってなかったことをひとつ書こうと思う。
その種火を受け継いだのは佐藤さんだけではなかった、ということ。
北光社時代、佐藤さんの元で働いていた店員さんのひとりはいま、大型書店に勤めている。先月、『LIFE-mag.vol.005』の納品で久しぶりに私はその書店を訪ねた。
「佐藤さんと一緒に北光社で働いていたんですよね?」
「はい。私は主にコミックの担当でしたが、いろいろとお手伝いしながら仕事を教えてもらいました。」
「今はとても大きな書店ですね。」
「でも、その時に教わったことって今も凄く意識しているんですよ。」
「えっ? そうなんですか」
「例えば、少し前に出た『DJの部屋』っていう本があるんです(書棚を指さして言う)。この本をどのコーナーに置いたらいいでしょう?」
「え〜、っと。。。」
「私はこの雑誌をぱらぱらと見ながら、『音楽』か『インテリア』か『男性誌』か、そしてそのどれもかって考えて置くんです。」
「ほ〜!どれにも当てはまる気がしますね。」
「それって、佐藤さんの仕事をそばで見ながら、教わったような、、、教わってはないような。でも、覚えたことなんです。そして、売れ行きを見ながら配置を変えたりもします。『書棚を通してお客さんと会話する』って佐藤さんの言葉です。いまでもすごく影響を受けてます。」
「へ〜、佐藤さん聞いたら喜ぶんじゃない?」
「いや、まぁ。あれこれ丁寧に教えてもらったわけではないですけど、書棚作りは手伝っていました。でも、そもそも『仕事』の楽しさを教えてもらったように思いますね。」
思いがけず、聞けた話。
新潟、この街の息づかいが見えるかのよう。街はゆっくりと呼吸している。
人間が、ゆっくりと吸い、吐いているものは、その熱、その情熱なのかもしれない。
こういったエピソードはあなたの会社でも、地域でも、馴染みのお店でも、取引業者さんでもきっとあるはず。