『セックスと障害者』坂爪真吾 著(イースト・プレス 刊) |
vol.002の取材でご縁をいただいた坂爪さんの新刊をようやく読みました。障がいのある人たちの〈性〉や〈セックス〉を取り巻く様々な課題、問題を取材し、その解決策を提示した本です。
障がい者同士の結婚の問題、障がい者の兄弟がいる子どもの問題、障がい者は性犯罪の被害者にも加害者にもなりやすい問題、障がいとLGBTというダブルマイノリティを抱える人の問題、性産業で働く女性障がい者の問題などについて、どのような問題があるのかを分析し、どんな社会や理解や制度があれば解決に向かうのかを果敢に提示しています。
本書では9つの事例から問題を考えますが、エピローグはそれらの問題が凝縮した事例なので、本屋で立ち読みをする場合、ここから読むといいでしょう。そして、ぜひレジへ。
この一年だけでも単著3冊目の坂爪さん、筆が乗ってるのが、読んでて伝わります。書いてても気持ちがいいだろうな〜。社会の制度や常識がうやむやにしようとする各課題に対し、潔癖なまでに曖昧さを許さない坂爪さんの筆が迫っていくようでした。
日本で最初の知的障がい児の福祉施設である滝乃川学園(国立・東京)の石井亮一や、「心身に障がいを抱えながら売春を続けた結果、もはや更正が不可能なまでに壊れ果ててしまった女性たちがその後の一生を過ごす場として設立」された「かにた婦人の家」(館山・千葉)の深津文雄がキリスト教の教えに影響を受けていたという話が出てきます。
「いと小さきものに為したるは、すなわち我に為したるなり」
この言葉に二人は特に影響を受けたといいます。これは坂爪さんのホワイトハンズの事業、また執筆活動に底流する思いとも近いと思います。〈生と性のバリアフリー〉を掲げ活動を行う坂爪さんもまた〈聖〉者のようだなと思いました。