左・WAKKUN、右・森本恵さん |
トンカ書店店内 |
まさに大人の秘密基地。打ち合せで20分ほど滞在しただけですが、様々な年代のお客さんが入れ替わり立ち替わり来店。
ちょっとした手土産にと思い弥彦酒造の梅酒と、新潟を発つ直前に岩室産業まつりで買った「良寛ドーナツ」をお渡し。ドーナツはたまたま居合わせた福岡出身だという女子大生にもお裾分け。森本さんが「ど〜ですかぁ」とさらりと会話をはじめてました。言うまでもないですが、プロですね。「こちらいま新潟から来た、こばやしさんです〜」と紹介してもらって挨拶すると、Life-mag.を即買い。「新潟行ったことないけど、読んでみます!」と女子大生。
以下は、神戸でいただいた紙モノの紹介です。
左・『てがみ』、右・『54才の絵日記』 |
WAKKUN作の絵本『てがみ』。言葉を伝えること、時間をかけて伝わること、言葉にできなかったなにか、に思いを寄せられる絵本です。出版|マイレぶっくす|http://maillet.exblog.jp/22964739/。『54才の絵日記』はWAKKUNの絵日記(エッセイ)。
別冊・SANPO |
こちらは森本さんも参加する「KOBE喫茶探偵団」が発行する会報?といったらいいのかな。神戸の喫茶店のマスターに店の歴史を聞き書きしてまとめたものです。店の歴史からかつての時代、風俗が浮かび上がってきて読ませます。ツルヤの「ネーポン」というジュース工場のレポもいいです。こうも面白がって町を見る視点があるとは...、共感と羨望です。真似したい。500円で購入。トンカさんに取り扱い有。フェイスブックページ|https://www.facebook.com/kobekissatanteidan/。
HAZIME-MASHITE |
トークイベントに、モード系のイケメンであきらかに目力のある男子大学生が来てくれました。加藤雄太くんです。彼は街頭で「はじめまして」と声をかけて、話した相手から聞いたエピソードをまとめた冊子を作っています。「え?」と思うかもしれませんが、そのまんまなんです。その行動力たるや。年齢、国籍、職種よくもここまでいきなり話しかけられたな!と思いました。NHKのドキュメント72時間と似てるかも。プロジェクトのフェイスブックページ|https://www.facebook.com/hazimemashite1995/。
フリーペーパー『ALONE』 |
イベント終了後に手渡しでいただきました。大藪茉莉子さんが発行するフリーペーパー『ALONE』。10年以上続いていて、10周年イベントをトンカさんでやったそうです。下段・中の第40号では、イベントで受付を手伝っていただいたイラストレーターの太田朋さんのインタビューが掲載。紙モノを通じて町の呼吸を感じます。
競馬評論と半生記年表 |
こちらもイベント終了後に手渡しでいただきました。櫻井康行さんの競馬評論と半生記年表です。ウェブで書いて発信するのではなく、紙に刷って手で渡す、という文化が神戸にはいまも生きているようです。
櫻井さんは個人的に競馬評を書いてコピーし、友人らに手渡ししていたそうですが、「なぜ自分がそこまで競馬に惹かれるのか? 半生を振り返って伝えた方がいいのでは」との周囲のススメで年表を作ったそうです。勧めたのはトンカさんだったかな...、うる覚えです。
(引用)
2005年(37歳)
7月以降、派遣(日雇いなど)での生活。収入不安定となる。
12月第4週競馬有馬記念の負けの後、年越しのため冷凍食品倉庫(マイナス25〜30℃)2日アルバイトし、無事年越しする。競馬という人生の目標があったので、冷凍庫はつらくなかった。
(おわり)
こういった流れで、23歳から48歳まで続きます。
ポストカード |
イベント時、受付を手伝っていただいたイラストレーターの太田朋さんのポストカード。
ん?
この雰囲気のイラストは...。
粟島馬物語 |
そうです。
なんと太田さんは『粟島馬物語 人と馬の暮らし』のイラストを担当された方だったんです。こんな巡り合わせもあるんですね。驚きました。
縮布とおけさぶし |
こちらもイベント終了後に声をかけていただき、後日、送っていただいた本。阿部栄作『縮布とおけさぶし』です。新潟県の「小千谷縮布」は、兵庫県の明石地方(明石縮布)から伝わったもので、その技術の伝播にともない「おけさ節」もやってきたのでは、という研究報告書。12月26日に「おとなプラス」の忘年会があって、越後線で新潟まで出たんですが、その車中で読みました。送っていただいたのは、兵庫県高砂市で「本と。」を経営する楠本朋子さん。フェイスブックページ|https://www.facebook.com/honto.Takasago/。
西山雅子編『"ひとり出版社"という働きかた』を読む。各地の先達の思いに刺激をもらう。赤々舎・姫野さん、サウダージ・ブックス・淺野さんの項がとくに面白かった。淺野さんのバイブル『悲しき熱帯』を読みたい。西山さんの取材もかなり丁寧。 pic.twitter.com/bApOhNJEEr— 小林弘樹 (@niigatalifemag) 2016年6月20日
去年、[巻]のたっつぁんに借りて読んだ本に出てきたサウダージ・ブックスの淺野卓夫さんや苦楽堂の石井伸介さんもイベントに来ていただきました。石井さんからは、新潟日報が発行した新潟地震の写真集を見せてもらいました。「明治時代、人口が一番多かったのは新潟だけど、2位は兵庫なんだぜ」と豆知識も。
とまあこんな感じで、神戸での出来事をなにかブログに書こうと思っても、受け取ったモノのあまりの大きさについ後回しになっていました。地方都市(新潟)で紙の雑誌をひとりで作っているヤツが来る、ということで紙モノに関心が高い人が集まったんだと思いますが、それにしてもすごい引力が働きました。
最後にざっくりとしたまとめです。
森本さんはお店に集まるお客さんの才能を(も)引き出すのがうまいと思いました。お客さんとの立ち話から「それ面白いなー。なんかやれんでしょうか」と様々なイベントを開催してきたようです。(聞きかじり情報ですが)
森本さんと話したのはごく短時間ですが、イベントに集まっていただいた人たちと話していると、これは森本さんがトンカ書店に、WAKKUNが神戸の町に耕してきた土壌があって、わたしはそこに吹いた風に触れさせてもらったんじゃないかと思いました。Life-mag.の知名度にお客さんが集まったわけではありません。
「店」は耕してよくしていく「土」のようです。「主」がどんな店を作るかでそこには独特の「風」が吹きます。そして「客」が持っている様々な欲求や価値観や感性という「種」は、その「風」に乗ってやってきて「土」に育てられます。そう考えるとモノを買うときに支払われる「金」は「水」のようですね。
神戸のトークイベントを振り返って、書きながら考えた結論。
「店は土。主は風。客は種。金は水。」