あなたとわたしのドキュメンタリー |
新潟出身の朗読詩人・成宮アイコちゃんの自伝エッセイ集『あなたとわたしのドキュメンタリー』が出版されました。発行は福岡市の書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)さん。
教室の流行にも、社会の常識にも、同世代の当たり前にもどうにもこうにも馴染めずに心と身体が引き裂かれ、「死にたい」「死のう」と思い続ける日々の中、その一歩手前、すんでのところで紡がれた言葉の数々がエッセイとしてまとめられています。
そして、アイコちゃん自身も書きためていた詩の朗読をはじめたきっかけが書かれています。客の顔を見ることすら、ステージに立つことすら出来なかったライブから、徐々に、徐々に、受け取ったバトンを次に繋ごうと、客席のひとりひとりに視線を合わせ、全力で言葉を発するいまのライブのスタイルが出来上がっていった過程を知ることができます。
アイコちゃんのライブは2回見に行ったことがありますが、客席にはやはりひきこもりやうつ病など様々な〈生きづらさ〉を抱えた(と思われる)人が多く来ていました。そこで客席に向かって自作の詩をギターの伴奏に合わせて叫ぶ姿がありました。
「あぁ、その生きづらさわかるよ」「それでもいいじゃないか、死ぬな」
家族や友人、医療や行政などに頼ることもできない人の「最後のセーフティネットになりたい」とアイコちゃんがどこかに書いていましたが、たしかにこの朗読ライブに救われ、目標にして生きている人がいる、そんな気がしました。言葉によって散々、傷つけられ、言葉によって救われてきたアイコちゃんだからこそ響くものがあるんだと思います。
そして、本の出版を記念してライブイベントがあります。こちらにわたしも呼んでもらいました。
10・21@北書店 |
2017年10月21日(土)19:00開演、会場は北書店さんです。
イベントは3部構成。第1部の「新潟を愛する100の方法」にアイコちゃん、北書店の佐藤さんとともに登壇予定です。「新潟から逃げた成宮アイコが、新潟で本屋さんを営む佐藤さん、新潟で出版社を作り雑誌を発行する小林さんに、「故郷」との落とし前のつけかたを学ぶ。新潟ってどう愛したらいいんですか?」というお題です。
北書店の佐藤さんはアイコちゃんが(今では)大好きな人。かつては、なぜこの人はこんなにもぶっきらぼうなのに、これほどいろんな人に愛されているのだろう、羨ましい、嫉妬する、それがこじれてむしろ憎い、と思っていたそうです。わたしへは『Life-mag.』という雑誌作りを通じてカウンター行動をやってるのに共感して、と依頼をいただきました。
新潟をどう愛したらいいか、難しいテーマですね。
純粋無垢に「ニイガタLOVE、地元大好きっ!」と思ってるわけではないので。
この問いはたぶん、新刊にあったこの一節の言い換えでもあるのではないでしょうか。雨宮処凛さんとアイコちゃんの対談の中で、お互いのライブ活動についてこう話しています。
「雨宮 そう言われちゃうのすごくわかる。わたしもあの頃、全然生きづらかったな...。生きづらくなかったら、たぶんあんなことやんないよね。本当に大丈夫だったら、リゾート行ったりバーベキューやったりしている気がする」
生きづらくなかったら、〈一人で新刊書店〉やんないよね?
生きづらくなかったら、〈一人で雑誌社〉やんないよね?
いや、
まだ打ち合わせしてないから、わかんないけど。
アイコちゃんとは2015年9月にインタビューさせてもらってからのご縁。同い年なので、気楽に参加できたらと思います。
詳細・予約は、http://aico-narumiya.info/schedule/ へ。
近くなってくるとツイッターでも情報が発信されると思います、https://twitter.com/aico_narumiya 。