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集合場所、みなとぴあにて。佐渡汽船が方向転換中のシャッターチャンス。 |
「まちあるき」や「路地、小路」に関する注目が高まり、全国的にまちあるきイベントが開催されるようになって久しいです。新潟市内でも盛んに行われていますが、編集室のあるエリア(新潟島)のものには参加したことがなく、いつか...と思っていました。
今回その機会があったので参加してきました。
2015年
3月
7日(
土)
9:
30〜、
新潟市歴史博物館みなとぴあ集合。博物館の展示で新潟島の概要の解説をうけて、まちあるきに出発、日和山を目指して歩くというコースでした。
案内人は、
「路地連新潟」の野内隆裕さん。新潟ではもちろん、全国的に見てもまちあるきに関して先駆的な活動、取組を行ってきた方です。
野内さんとデザイナーの上田浩子さん、そして新潟市役所の方々が制作した
「まちあるきマップ(現在、全六種類)」は永久保存版でしょう。そのマップでいう「新潟下町あるき 日和山登山のしおり」編が今回のコースでした。
新潟島の地形の変化、町並みが変わっても土地が覚えていること、通りや小路名の由来と変遷、昔この町に暮らした歴史上の人物、路地園芸、路地猫などを解説してもらいながら約二時間半のまちあるきでした。野内さんのとにかくマニアックな視点とその深さに感嘆しっぱなしでした。
新潟の町は信濃川が運んできた砂がこの河口地域に砂丘列を生み、その地形と川に沿って作られたそうです。「新潟に砂丘が?」と思いますが、地形図をよく見るとその砂丘列は約七〇キロほど続いていて、鳥取砂丘よりも長いそうです。
しかし、その土砂や飛砂が町を侵食してしまう被害もありました。その対策として、1617年、長岡藩主・堀直寄による砂防林工事。1844年、初代新潟奉行の川村修就による砂防林工事などが行われてきました。
現在もその工事の形跡をたどれるように松林を確認できます。その松を指して野内さん、「長年、海風にさらされ曲がった松をみてください。がんばったな〜って思うでしょ?」。町を形づくってきた植物に対しても思い入れがすごいです(笑)。
時間中めいっぱいいろんな話を聞かせてもらい、とてもここではあげきれません。いくつか道中の写真をアップします。
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案内人の野内隆裕さん。 |
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旧税関庁舎を抜けていざ新潟の町へ。 |
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湊稲荷神社。案内看板は野内さんの活動に注目した市と制作。 |
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お稲荷さん。船乗りが出港できないよう新潟の女性や商売人が荒天を願った。足、止め。 |
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艀=はしけ。なかなか読めない。この町の由来を示す。 |
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金刀比羅神社へ。野内さんがパソコンで再現した「難船彫刻絵馬」はここに。 |
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願隨寺(がんずいじ)。墓地を抜けます。 |
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墓地の脇より、まさかこんなところに路地が。 |
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野内さん、さぁいよいよどんな路地でも抜けていきます。 |
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空家になった長屋の土壁。 |
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開運稲荷神社。参道の「こんこん様」は明治時代に出雲国の回船が運んで来た出雲石でできている。
顔が落ちているが、これまでも2〜3度あるらしい。 |
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日本海へ出てきました。日和山展望台へ。 |
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日和山展望台からの眺望。左の茶色いマンションあたりが信濃川河口だった頃もあるそう。 |
大河津分水や
関屋分水などの整備により、流れ込む砂量にも変化があり、河口や海岸線も変化してきたそうです。
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新潟市共同墓地。名誉市民3人のうち2人(荻野久作、澤田敬義)が眠る。 |
名誉市民の
【リンク】
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マニアにはたまらない? |
一見、なんの変哲もない通りに見えますが、「ここは〈一級スリバチ〉に認定されているんです!」と野内さんが嬉しそうに話していた通り。
「一級スリバチ」とは、
「東京スリバチ学会」が独自に認定している四方を谷や丘などによって囲まれた地形、その場所をいうそうです。ここは砂丘間低地とも呼ばれるそうです。
新潟市共同墓地から新潟市美術館へと抜ける通りです。今回はここは抜けなかったので、近々また行ってみようと思います。
そういえば去年の夏に読んだ本↑に。
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路地園芸その1。 |
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路地園芸その2。 |
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そして日和山へ。その5合目には野内さんが運営するカフェが。 |
日和山とは、港に入る船の水先案内を行う場所でした。石巻や酒田など全国に80ヶ所ほど同じ地名があります。新潟の日和山は、高さは12.3メートルの小さな山になっています。野内さんが拠点を置くのもここ。2014年10月に
「cafe日和山5合目」をオープンさせました。
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ソーセージパンと珈琲セットで休憩。
野内さんの奥様がパンを焼いています。 |
飲食も美味しかったですが、その蔵書資料も興味深かったです。時間をつくって資料を読みにまた行きたいです。奥深いまちあるきの世界。野内さんの探究心とユーモアに打ちのめされた一日になりました。
今回は市内百貨店に勤める笹川さんのお声掛けで参加させていただきました。ありがとうございました。