講座の様子 |
入梅をすぎ、やや湿り気を帯びた新潟らしい夏の暑さを感じるようになってきました。関東地方は梅雨入りしたようですが、新潟市はこれからのようです。
「湿った暑さで手が汗ばむわね」「その日の気候によっても三味線の弦、鼓の皮の張りなど微調整することもあります」とこの講座でも先生方が話していました。
前回の「踊り鑑賞のツボ」に引き続きウェブ用の取材ということで、お邪魔させていただきました。
今回は、お座敷で演奏を担当する地方(じかた)のお二人を迎えての講座でした。踊りを舞う芸妓さんら立方(たちかた)とともにお座敷にかかせない存在です。
前回に引き続き、日本舞踊市山流7代目家元である市山七十世(なそよ)さんを進行役に、古町芸妓の福豆世(ふくとよ)さん、延子さんが演奏役としていらっしゃいました。
はじめの解説でメモしたことを以下に箇条書きします。
・地方はおもに、三味線、唄、鳴物などを担当。
・「唄」には、語り物と謡い物がある。
・「語り物」は、義太夫(ぎだゆう)、常磐津(ときわず)、清元(きよもと)といった種類があり、浄瑠璃の流れをくんでいて、物語にそれぞれ独特の節をつけて唄う。
・「謡い物」は、長唄があり、歌舞伎の伴奏として発達してきた。物語というよりは情景描写が多い。
・三味線の胴に張られた皮は、猫や犬の皮が使われる。猫のほうがいい音が鳴るが、希少で高いため、練習時は犬の皮を張ったものが使われる。
・三味線の弦は絹にロウを塗ったもの。バチは象牙。
などなどを解説。
ここでお相撲さんを好きになった女性を唄った小唄「勝名のり」の披露がありました。
「後ろ姿もうっとりと 見れば見るホド 粋な決めてが 今も目に」
「ホッと吐息を見とがめられて ほてった顔に アラ 夏の風が吹く」
これは夏場所前のちょうどいま頃の唄です。歌詞をみるといまの女性にも通じるようなポップソングにも思えてきます。
そして、昔話「桃太郎」を唄にしたものを披露。俗曲と呼ばれるそうです。
最後に、清元「保名(やすな)」を披露。この曲は、好きな女性が亡くなって、悲しみ、狂気となり、春の野辺をさまよう物語です。
先ほどポップソングと形容したものとは、また雰囲気が変わりましたね。
この曲は、歌舞伎の「蘆屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)」の一節で、「保名」というのは安倍保名で、平安時代の陰陽師・安倍晴明の父という設定です。
前回に引き続き、日本舞踊市山流7代目家元である市山七十世(なそよ)さんを進行役に、古町芸妓の福豆世(ふくとよ)さん、延子さんが演奏役としていらっしゃいました。
左・延子さん、右・福豆世さん |
はじめの解説でメモしたことを以下に箇条書きします。
・地方はおもに、三味線、唄、鳴物などを担当。
・「唄」には、語り物と謡い物がある。
・「語り物」は、義太夫(ぎだゆう)、常磐津(ときわず)、清元(きよもと)といった種類があり、浄瑠璃の流れをくんでいて、物語にそれぞれ独特の節をつけて唄う。
・「謡い物」は、長唄があり、歌舞伎の伴奏として発達してきた。物語というよりは情景描写が多い。
・三味線の胴に張られた皮は、猫や犬の皮が使われる。猫のほうがいい音が鳴るが、希少で高いため、練習時は犬の皮を張ったものが使われる。
・三味線の弦は絹にロウを塗ったもの。バチは象牙。
などなどを解説。
ここでお相撲さんを好きになった女性を唄った小唄「勝名のり」の披露がありました。
「後ろ姿もうっとりと 見れば見るホド 粋な決めてが 今も目に」
「ホッと吐息を見とがめられて ほてった顔に アラ 夏の風が吹く」
これは夏場所前のちょうどいま頃の唄です。歌詞をみるといまの女性にも通じるようなポップソングにも思えてきます。
そして、昔話「桃太郎」を唄にしたものを披露。俗曲と呼ばれるそうです。
最後に、清元「保名(やすな)」を披露。この曲は、好きな女性が亡くなって、悲しみ、狂気となり、春の野辺をさまよう物語です。
先ほどポップソングと形容したものとは、また雰囲気が変わりましたね。
この曲は、歌舞伎の「蘆屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)」の一節で、「保名」というのは安倍保名で、平安時代の陰陽師・安倍晴明の父という設定です。
ここでは市山さんが鼓(つづみ)を担当しました。1分だけその様子を映像で記録しました。
会場から「洋楽だと一定のリズムがあって演奏されますが、邦楽はそうではないですよね。その違いは」という質問がありました。
それに市山さんからは、
「邦楽の場合は、〈節〉といい、それにもある程度の型はあります。しかしチン・テン、チン・テンのリズムは一定ではなく0.5があったり、0.7があったりします。唄の内容、踊り方、その場の雰囲気、芸妓さんと地方さんの個性によって、すべてばらばらで、その間(ま)をどうみせるか、間をどう持つかが邦楽ではみせどころになります」
といった答えがありました。
「リハーサルでは怒鳴ってばかりいるかもしれませんが(笑)、ぜひ本番をお楽しみください」との締めくくり。
今回もまた終始なごやかな雰囲気のあっという間の1時間半でした。
普段仕事場では、ジャズやピアノソロ、アンビエント、(折れそうな気持ちを盛り上げたいときは)クラブミュージックやヒップホップなどを聴くことが多いです。書いてみるとなんだかナンパなヤツに思えてくるなぁ(笑)。普段なかなか触れることのない邦楽、「初心者のための〜」と題されていたとおり、その玄関がどこにあるかだけは見えたかなと思いました。
現在、取材中の次号『LIFE-mag. vol.009【寺泊・弥彦・岩室・巻編】』。いまのところ弥彦、巻エリアの取材が先攻していますが、岩室エリアでは「岩室甚句」について取材できたらなと検討中です。その取材の下地としてもいろいろと見聞きできてよかったです。