2015年6月1日月曜日

初心者のための「ふるまち新潟をどり」鑑賞講座 於・砂丘館

講座の様子

第27回「ふるまち新潟をどり」が2015年6月21日(日)りゅーとぴあにて開催されます。その関連企画として、「初心者のための『ふるまち新潟をどり』鑑賞講座」が砂丘館にて開催されました。

新潟大学付属病院の裏手を回っていくと編集室からもすぐに砂丘館にいくことができ、時々いっては奥の蔵で絵に囲まれ、沈思黙考することもあります(いや、ぼ〜っとしてるだけです)。また、『LIFE-mag.』の取り扱いもお願いさせていただいていて、納品時などにも伺っては、展覧会やイベントの情報をチェックしています。

今回のイベントも面白そうだなと思い、ウェブ用にと取材をお願いしました。

2015年5月30日(土)10:30〜、第1回の鑑賞講座「踊り鑑賞のツボ」が開催されました(第2回は「邦楽鑑賞のツボ」で6/13予定)。

講師は、市山七十世(なそよ)さんと岡崎篤行さん。市山さんは日本舞踊市山流7代目家元であり、新潟芸妓に踊りの指導をされている方です。岡崎さんは、新潟大学教授で専門は都市計画。また「古町花街の会」「新潟まち遺産の会」のメンバーでもあります。

岡崎さん

まずは岡崎さんから、花街の基本のレクチャー。いくつか箇条書きで紹介します。

・「花街」を「かがい」と読むのは、花街柳巷(かがいりゅうこう)という漢語から。花柳界という言葉も。
・全国に花街は30〜40地区ほど残っているが、戦前の情緒を残すのは、京都、金沢、そして新潟。
・芸妓は京都では「げいこ」、新潟では「げいぎ」と読む。東京では「芸者(衆)」。京都の舞妓(まいこ)は、半人前の芸妓(げいこ)のこと。
・新潟では1987年に柳都振興株式会社が設立、芸妓の育成、伝承が行われてきた。この会社に所属する芸妓さんを「柳都さん」と、若手を「振袖さん」、一定の研修後は「留袖さん」と呼ぶ。

などなど。続いて、市山さんから日本舞踊についてのレクチャー。

市山さん

・日本舞踊は、念仏踊りと歌舞伎の流れを汲んで生まれてきたもの。
・古くは、阿国の念仏踊りがあったが、いまも柏崎の「綾子舞」にその原型が残る。
・市山家は、4代目まで歌舞伎の役者だった。3代目が大阪から新潟にきた。
・西洋のバレエと衣装を比べると日本の舞踊は個々人の身体の差、線を隠すものである。また衣装によって役柄がわかる。
・同じく比べると、舞踊は重心が低く、〈地を固める〉ような動作が多い。

などをレクチャー。

小夏さん(左)、初音さん(右)

そして、新潟芸妓の小夏さんと初音さんの踊りもみることができました。

踊りの後には、扇子を使って風、波、山を表現してみたらどうなるか、「好きな人をこちらに呼ぶとき」「宴会中など他の人に気づかれないように目配せするには」といった所作をする場面もありました。

約1時間半の講座は、気さくで明るい市山さんの軽快なトークの中、あっという間でした(稽古中は厳しいかもしれませんが)。

講座の中でも話にでましたが、芸妓さんの衣装、音楽、踊り、お座敷の建築、庭園、室礼、料亭の料理などそれらはすべて日本で培われてきたひとつながりの文化です。

ここまで書いてきてふと思いましたが、いまの新潟にそれらを楽しむことができる〈粋な旦那衆〉ってどれだけいるんだろう。50〜60代の経営者、役員、部長クラスになるんでしょうか。うーん...、とても見当がつきませんね...。

わたしはまだまだお座敷遊びができるような立場にありませんが、興味のあるところです。しらばく〈粋な旦那衆〉にはなれないにせよ、自分の仕事(『LIFE-mag.』制作発行)を通じ、伝え継ぐひとつのきっかけになれたらなと思っています。まずは、問題意識の種をここに記録しておくことにします。

砂丘館

【補】会場となった砂丘館さん、年間通して様々な企画をされています。県外からのお客さんを案内するときにもオススメです。イベント以外は入館無料。