2018年8月29日水曜日

にしかん障がい者アート展「あなぐま芸術祭」によせて(3)

作品1

この絵は佐潟と角田山を舞台に描かれた作品である。様々な動物、恐竜が並んで歩き、林の木々にはイチゴやバナナ、スイカなどが実をつけている。右上に飛び立っているのは白鳥である。

描かれたキャラクターの表情、世界観に楽しさがぎゅっと詰まっていて、眺めているだけでも明るい気持ちになる。

作者はしゅんすけさん(28)。強迫性障害がある。「絵を描き始めたのは家に引きこもっていた18、19歳の頃。家にいたばあちゃんを鉛筆で描いてみました」という。

いまは新潟市西区赤塚にある「就労継続支援B型 ラグーン」に通ってラグーンcafeの運営、清掃活動、資源回収などの作業を行なっている。また、ラグーンでの活動の一環に創作活動もあり、ここでも絵を描いている。

「見た人に楽しんでもらいたい、喜んでもらいたいという思いから毎回、作風を変えています」としゅんすけさん。

作品2

地元・内野地区の「三日月橋」からの眺め。三日月に照らされた少女が描かれている。ボールペンや色鉛筆などの点で描かれている。

作品3

鮮やかな絵の具を使ったドット柄。よく見ると様々なパターンで描かれている。

手ぬぐいやマグカップ、ラグーンcafeのランチのランチョンマットなどのデザインにも良さそうだと思った。

作品4

こちらはパズルのピースをモチーフにした作品。

作品によっては小さくメッセージが入っていたり、元素記号を使った暗号が入っていたりもする。

作品のファイルを見せてもらったが、ほんとうに様々な作風の作品があった。

「作品のアイデアが思い浮かぶと些細なことでもいいから付箋に書いて冷蔵庫に貼っておくんです。それがいつかのタイミングで組み合わさった時、作品にして描いています」としゅんすけさん。

1日、8〜9時間くらい書いて、それが何日も続くこともあるとのこと。

出展作品の打ち合わせの様子。左がしゅんすけさん

ラグーンスタッフの齋藤鎮哉さん(写真・中)は「しゅんすけくんの絵は見る人を楽しませ、和ませてくれる。これからもイメージしたものを思いっきり表現していってもらいたい」と語る。

また、「あなぐま芸術祭」事務局長の小倉壮平さん(写真・右)も「緻密かつユーモアに表現している作品を観て、しゅんすけ君のことをもっと知りたいと思っていた。塞ぎこみそうになるときに描くことが多いという心の葛藤の反対に、作品を通して喜んでもらいたいという気持ちの強さに感動した。今回の芸術祭を通して、作品が持っているその背景にあるドラマ・ストーリーも知るきっかけになれば嬉しい」と出展作品への期待を込めた。

9月1〜9日まで新潟市西蒲区岩室温泉で開催される「あなぐま芸術祭」ではどんな作品が見られるのか。楽しみにしたい。

[Web]www.iwamuro-anaguma.com