「イロハニ堂」店主・坂野裕美さん |
8月1日の夕方、内野駅前のイロハニ堂さんに行ってきました。【シネ・ウインド編】の発刊記念トークでお世話になったお店です。日中、編集室で仕事をしていると内野在住のライターKさんから「Life-mag.のバックナンバー一式を揃えたいんだけど」と電話があり、その配達でした。
しばらくKさんから内野の歴史についての〈マシンガントーク〉を受けていると、話題がイロハニ堂さん前のケヤキの木になりました。
「明日の朝、切られるんだってね」
一階のツルハシブックスさんに納品に来たり、トークイベントでイロハニ堂さんを使わせてもらったりしてきたなかで、何気なしにこの木を見てきましたが、〈なくなる〉と聞くと途端に〈当たり前のよう〉にあったその存在の大きさに気づくものですね。なんだか寂しいものです。
二階にあるお店の窓から見えたケヤキの葉は、坂野さんやお店の常連さんにとっては、きっとそうとうに大きな存在だったと思います。新緑の季節、台風に揺らされる葉、紅葉の秋、雪を乗せた枝、四季折々にその表情をかえてきたことでしょう。
切られる理由は道路拡張のためだそうです。事前に工事業者や新潟市役所の方が説明に来て、その時、坂野さんは「ゴネた」そうです。
計画はそのまま進められ、2日の朝、伐採されました。
イロハニ堂facebookより |
ふと考えてみると、道路の拡張はだれの要望、発案、計画、責任で行われているんでしょうかね。新潟市役所や新潟県庁のどこかの部署に道路計画委員会のようなものがあるんでしょうか? もしあるならどんなメンバーでしょうか。または自治会や市民からの要望があったのでしょうか? 内野駅前ということもあるのでJR東日本からの要望があったとか。そして、計画が立ち上がった際には、自治会や住民とはどのような協議、説明があるのでしょうか、またはないのでしょうか。
考えてみると、街路樹一本がどんな風に存在しているのかすら、わらないものです。さらに伐採されたケヤキはどこかに植えかえるということもなく、産業廃棄物のようなかたちで処分されていくのでしょうか。もしそうだとしたら、それも寂しいものです。
ツルハシブックスさんやイロハニ堂さんに出入りしている大学生で都市計画や社会学などを学んでいる人には卒論のテーマにしてもらいたいですね。
町並みが移り変わっていく、ちょうどその場面に居合わせて考えたことでした。