NHKテキスト 生きがいについて |
「どういうひとが一ばん生きがいを感じる人種であろうか。自己の生存目標をはっきりと自覚し、自分の生きている必要を確信し、その目標にむかって全力をそそいで歩いているひと −− いいかえれば使命感に生きるひとではないであろうか。
このような使命感の持主は、世のなかのあちこちに、むしろ人目につかないところに多くひそんでいる。肩書や地位のゆえに大きく浮かびあがるひとよりも、そういう無名のひとびとの存在こそ世のなかのもろもろの事業や活動に生きた内容を与え、ひとを支える力となっていると思われる」
ハンセン病療養所で精神医学的調査を行い、患者に寄り添ってきた精神科医・神谷美恵子の『生きがいについて』の一節。先月バックパックに入れて持ち歩いて、隙間時間にめくってたNHKテキストより。解説は若松英輔さん。
目立つ仕事じゃない、大きな資本も流行も関係ない。それでも −− 。取材で各地を歩いているとそういった人に出会うことがある。耳を澄まし、縁をたどって歩き、そういう人にたどり着けることが、巡り巡ってわたしの喜びかな。